特定看護師創設提案までの経緯とその後の進展

特定看護師に関する会議や発表などを抜粋し、時系列に整理してみました。

年月日 できごと
2007年
12月28日

厚生労働省医政局長通知
「医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について」

医師、看護師等の医療専門職が専門性を必要とする業務に専念することによって、効率的な業務運営がなされるよう、適切な役割分担がなされるべきとして、下記の具体例を提示しました。

① 薬剤の投与量の調整
② 静脈注射
③ 救急医療等における診療の優先順位の決定
④ 入院中の療養生活に関する対応
⑤ 患者・家族への説明
⑥ 採血、検査についての説明
⑦ 薬剤の管理
⑧ 医療機器の管理

2008年
6月

厚生労働省「安心と希望の医療確保ビジョン」

「医師と看護職の協働の充実」という項目において、下記のように記されています。

「医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について」で示したように、各職種に認められている業務範囲の下での業務を普及する。また現場の看護師が専門看護師、認定看護師の取得を促進する施策を講じ、その普及・拡大に努める。さらに、医師・看護師がそれぞれの専門性を情報共有や会議等を通じて十分に発揮するとともに、効率的な医療の提供に資するため、チーム医療による協働を進める。その際、これからの看護師には、医師や他のコメディカル、他の職員等や患者・家族とのコミュニケーションを円滑にする役割等が求められるほか、在宅や医療機関におけるチーム医療の中で、自ら適切に判断することのできる看護師の養成が必要であることなどから、看護基礎教育の内容及び就労後の研修を充実させるとともに、教育の方法や内容、期間について、将来を見渡す観点からの望ましい教育の在り方に関する抜本的な検討を進める。

2009年
3月31日

閣議決定「規制改革推進のための3か年計画(再改定)」

「専門性を高めた職種の導入」において下記のように記されています。

海外においては、我が国の看護師には認められていない医療行為について、専門性を高めた看護師(NPの事を指している)が実施している事例が見受けられる。上記の「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化に関する検討会中間とりまとめの内容をふまえると、早急にこのような海外の事例について研究を行い、専門性を高めた新しい職種の導入について、各医療機関等の要望や実態等を踏まえ、その必要性を含め検討する。

2009年
5月19日

経済財政諮問会議 内閣総理大臣指示

看護師の役割の拡大は「経済危機克服のための有職者会合」や「社会保障国民会議」の提言でもある。厚生労働省において、専門家を集め、日本の実情に即して、どの範囲の業務を、どういう条件で看護師に認めるか、具体的に検討していただきたい。との指示がありました。

2009年
6月23日

閣議決定「経済財政改革の基本方針2009」

医師と看護師等の間の役割分担の見直しについて、専門家会議で検討を行い、平成21年度中に具体策を取りまとめる。としています。

2009年
7月

民主党政策集 INDEX2009

「薬剤師、理学療法士、臨床検査技師などコメディカルスタッフの職能拡大と増員を図り、医療提供体制を充実させ、医療事故防止、患者とのコミュニケーション向上を図る」こと、「専門的な臨床教育等を受けた看護師等の業務範囲を拡大し医療行為の一部を負担」することが明記されています。

2009年
8月28日~

厚生労働省「チーム医療の推進に関する検討会」

チーム医療の向上を図る方策の要として看護師の役割拡大を中心に議論が重ねられてきました。

2010年
3月18日

日本外科学会などの外科系関連9学会が「わが国における特定看護師(仮称)の早期確立」に関する要望書を「チーム医療の推進に関する検討会」に提出しました。

2010年
3月19日

チーム医療の推進に関する検討会とりまとめ「チーム医療の推進について」という報告書が厚生労働省に提出されました。その中で「特定看護師」の創設が提言されたのです。

2010年
5月12日

厚生労働省第1回チーム医療推進会議

厚生労働省が「チーム医療の推進について」を受けて、様々な立場の有職者から構成される会議を開催し、同報告書において提言のあった具体的方策の実現に向けて、下記課題を中心に検討を行う事を目的に「チーム医療推進会議」を設置し、下記の2つのグループをその下に置きました。

① チーム医療推進方策ワーキンググループ
② チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ

各ワーキンググループの検討結果を「チーム医療推進会議」にフィードバックしながら議論をすすめる方針としました。

2010年
6月14日

第2回チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ

全国的な看護業務実態調査を実施しました。 チーム医療検討会報告書において「特定の医行為として想定される行為例」として列挙された行為等、一定の行為について以下の項目を調査しました。

① 現在、看護師が実施しているか否か
② 今後、一般の看護師が実施することが可能と考えられているか否か
③ 今後、特定看護師制度の創設に伴い、特定看護師が実施することが可能と考えられるか否か

2010年
7月21日

日本医師会の定例記者会見

厚生労働省の研究班の調査では、先進医療を行う一部の医療機関の意見ばかりが重視されることが懸念されるとして、独自調査の実施を決定したことを発表しました。(日本医師会は特定看護師の創設には強く反対をしています)

2010年
10月6日

厚生労働省第1回チーム医療推進方策検討ワーキンググループ

下記課題を中心に検討をスタートしました。

① チーム医療の取り組みの方針となるガイドラインの策定
② 上記ガイドラインを活用したチーム医療の普及・推進のための方策
③ 看護師以外の医療スタッフの業務範囲・役割の見直しを随時検討するための仕組みの在り方

関連職種を招いたヒアリングを2010年10月~2011年2月にかけて5回程度実施の上「チーム医療ガイドライン」の骨子について議論を重ね、3月にとりまとめを行う予定。としています。

第4回チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ

看護業務実態調査」の結果発表が行われました。 上記は全国3274施設に従事する医師、看護師、専門看護師、認定看護師の合計48,012人を対象にインターネット調査により実施するも、有効回収数は8,104人にとどまり回収率は2割を切ったそうです(しかし、多忙な医療従事職約8千人の有効回答が得られたというのは、医療従事職の危機感や期待感の現れだとする意見もあります)

特定看護師の業務として実施可能ではないかという声が多かったのは以下の通りでした。

① 人工呼吸器モードの設定・変更の判断・実施
② 人工呼吸器装着中の患者のウイニングスケジュール作成と実施
③ 血液透析・CHDFの操作、管理
④ 褥瘡の壊死組織のデブリードマン
⑤ 痛みの強さや副作用症状に応じた非オピオイド・鎮痛補助薬の選択と投与量・用法調整

一方、医師が実施すべき医行為として医師の回答が80%を超えた業務は下記になります。

① 神経ブロック
② 胸腔穿刺
③ 中心静脈カテーテル挿入

2010年
10月18日

ワーキンググループ事務局は看護師と共にチーム医療に取り組む以下の関係職能団体宛てに、看護師業務に関する下記3つの内容についてアンケート調査を依頼する用紙を発送しました。

日本薬剤師会 / 日本病院薬剤師会 / 日本理学療法士協会 / 日本作業療法士協会 / 日本言語聴覚士協会 / 日本栄養士会 / 日本臨床工学技士会 / 日本放射線技師会 / 日本臨床衛生検査技師会

① 今後、看護師が実施可能と回答のあった業務・行為
② 現在看護師が行っている業務・行為のうち看護師以外の職種による実施が適当との回答があった業務・行為についてどう考えるか
③ チーム医療推進の観点から、医師・看護師と分担・連携することができる業務等

2010年
7月21日

第3回チーム医療推進会議

厚生労働省の研究班と同じ203項目で日本医師会が実施した「看護職員が行う医行為の範囲に関する調査」の結果発表がありました。
全国の都道府県医師会と郡市区医師会の役員を中心に、医師と看護師・准看護師合わせて9,120人を対象に調査し、医師3,253人、看護職3,506人の計7,031人からの有効回答数を得ることができました。
病院の病床規模では医師と看護職とも199床以下が約6割を占めましたが、厚生労働省の研究班の調査では回答者の8割強が病院勤務で、その過半数が500床以上の大病院と、調査対象の属性に差があったためか、一部結果に乖離がみられました。
一例として「手術時の臓器や手術機器の把握及び保持」を現在看護師が行っているかという項目において、医師会調査では約半数が実施していると答えたのに対して、厚生労働省調査では実施していると答えたのが10%強という結果がありました。

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