看護師を取り巻く法律の問題

特定看護師の創設が提案されてから、法律をめぐる問題も指摘されてきました。 以下は保健師助産師看護師法(保助看法)第37条を抜粋したものです。

保健師、助産師、看護師又は準看護師は、主治の医師又は歯科医師の指示があった場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をし、その他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずる恐れのある行為をしてはならない。

つまり、医師の指示なしで医行為を行ってはならないということですね。 しかし医療業界の状態を考えると、現行法を改正しているような猶予はもちろんありません。 そこで、上記法令について「チーム医療の推進に関する検討会」は下記のような提言をしています。

保助看法第37条で規定する医師から看護師への「指示」については、看護師が患者の状態に応じて柔軟に対応できるよう、患者の病態の変化を予測し、その範囲内で看護師が実施すべき行為を一括して指示すること、すなわち「包括的支持」も可能であると解されているが、「包括的指示」が成立するための具体的な要件は、これまで明確にされていない。

「包括的指示」というのは特定看護師の創設において重要なキーワードであり、これは対応可能な患者の範囲・病態の変化が明確にされていること等の条件下の包括的指示において、看護師が患者さんの状態や状況をアセスメントして、適切な医行為を行う事ができるという法解釈です。また、検討会では下記のような意見も盛り込まれています。

保助看法第37条により、看護師は、医師の指示がある場合には、自らの業務(保助看法 第5条の「診療の補助」)として医行為ができることとされている。しかし、実施に当たり高度な医学的判断や技術を要する医行為については、本来医師が自ら行うべきものであり、「診療の補助」の範囲を超えていることから、たとえ医師の指示があったとしても看護師には行い得ないものと解されている。

つまり「包括的指示」という法解釈によって、看護師のできる業務は広がりますが、医師のやるべきことは医師がやりましょうという事ですね。そういった事も踏まえた上で現在、一般看護師の業務範囲拡大、特定看護師の行う特定の医行為の範囲、特定看護師の要件、特定看護師養成課程の認定基準などが慎重に検討されている段階なのです。

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